徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 B型肝炎の予防接種が今年10月から定期接種になります。4月1日以降に生まれたすべての児にB型肝炎ワクチンが公費で接種出来るようになります。これまではB型肝炎ウィルスHBVを持つ母親(キャリア)から出生する児に垂直感染(母子感染)予防のみ健康保険を使ってワクチンを受けることが出来ました これに加えて家庭内や保育園などで発生する水平感染の予防にも公費でワクチンが接種できるようになったのです。

 現在WHOに加入している大部分の国ではB型肝炎を撲滅するために 生まれた子どもすべてにワクチンが接種されています。これをユニバーサルワクチンと呼びます。我が国と英国や北欧数か国だけはB型肝炎に罹りやすいハイリスクの人だけにワクチンを接種しています。これを選択的接種と言います しかし日本では母子感染予防のみに限定した選択的接種でした。

 B型肝炎は血液、尿、唾液、汗、涙、精液などの体液を介して感染します。最も多い感染源は血液です 母子感染は出産時にHBVキャリアの母体の血液に暴露された児がHBVに感染するものです 以前はB型肝炎の母子感染予防を行えば日本にはB型肝炎に罹る児がいなくなると考えられていました。

 しかし予想に反して健康保険を使ったB型肝炎の母子感染予防を行ってもB型肝炎に罹る子どもがゼロになることはありませんでした。この原因は産科で始まった母子感染予防が小児科に十分に引き継がれていなかったことや乳幼児期の集団生活や家族内での水平感染によるものがあるためと考えられます。