医師偏在や病床数の削減、入院医療から在宅医療への移行など、多くの課題が山積する中で県医師会のかじ取り役を任された。ベッド数が19床以下の診療所で組織する全国有床診療所連絡協議会の副会長という顔も持ち、「地域医療を支える小さな診療所にしわ寄せが来ている」と、診療所の減少が続く現状に強い危機感を抱く。

 35歳で鳴門市に整形外科医院を開業。深夜の急患を積極的に受け入れ、昼夜を問わず働いてきた。だからこそ、診療報酬が抑制され、当直医や看護師の確保もままならない状況の改善を地道に訴え続けてきた。

 今心配するのは、地域医療の担い手の減少だ。徳島県の人口10万人当たりの医師数は303・3人(2014年末時点)と全国で3番目に多いが、「医師が余っているかというと全くそんなことはない。過疎地では60代以上の医師がほとんどだろう」。地域医療の担い手を都会から呼び込むため、基幹病院と診療所の連携を提唱し、「診療所の医師が大きな病院で最新の医療に触れられる仕組みを軌道に乗せたい」と抱負を語る。

 城南高校時代、医学部を志す友人につられて徳島大医学部に進学。「治療の結果がはっきりと出るし技術の差が分かりやすい」と整形外科医になった。開業前には香川県内の病院で勤務経験がある。丁寧な治療で患者の信頼を得て、今も県境をまたいで通ってくる患者がいる。

 若い頃はバスケットボールに熱中し、医学部チームの大会で西日本3位に輝いた。歴史小説が好きで、藤沢周平の作品はほぼ読破した。学生結婚した妻と鳴門市撫養町小桑島の自宅で2人暮らし。71歳。