就任1年目で7連覇を狙った城南を破った。過去のチームが何度も挑み、はね返されてきた強敵を下しての7年ぶりの頂点。コートでうれし涙を流す選手たちに駆け寄った若き指揮官は「努力が報われたんだよ」と喜びを分かち合った。
城南に逆転負けを喫した6月の県総体後は試合ビデオを見て徹底的に相手を研究し、勝つためには何が足りないかを考え続けた。練習では心技両面での準備の大切さを口酸っぱく教えた。「相手を知ることで自信が芽生え、粘り強い戦いぶりにつながった」と選手の成長に目を細める。
宝田小1年の時にバレーボールを始め、阿南一中時代からはリベロに専念。2011年に富岡東高に進み、今も外部コーチとして指導に当たる名伯楽、片山照代さんの教えを受けて1年からレギュラー入り。全国大会も経験した。
東京女子体育大でも1年からコートに立った。東京で就職するかを悩んでいた時、片山さんの「帰ってこんで」との言葉が後押しとなり、4月に保健体育の講師として母校に赴任した。技術指導だけではなく、豊富な経験談や人間形成の大切さも説く恩師を間近に「私は指導者として恵まれた環境にいる」と自らも勉強の日々を送る。
「全国大会では県代表として、敗れたチームの努力や悔しさを忘れずに戦う」。強豪にも気後れすることなく立ち向かい、支えてくれる人たちに勝利を届ける覚悟だ。阿南市宝田町の実家で両親と3人暮らし。23歳。