徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)
B型肝炎ワクチンが定期接種になりました。今年4月1日以降に出生した小児は全員、今年10月から公費でワクチンを受けることが出来るようになります
B型肝炎はこれまで母親がキャリアの場合のみに予防処置が実施されてきました。B型肝炎母子感染防止事業は1985年より妊婦の検査が実施され、1986年からB型肝炎ワクチンと抗HBsヒト免疫グロブリンの併用が公費で実施されてきました。1995年からはこれが健康保険の適用となりました。
B型肝炎母子感染予防事業によってB型肝炎にかかる児は激減しました。しかしB型肝炎をゼロにするには家庭内や集団生活の場での水平感染予防が必要とされます。
B型肝炎は血液以外に尿や唾液、涙、汗、精液などの体液で感染することが知られています。そこで母子感染予防だけでは防ぎ切れない水平感染の予防対策が必要です。
B型急性肝炎の感染経路を推定した調査の結果から33%は不明 60%以上が性的接触による感染であると推定されています。若年者の間で性的接触によるHBV感染の割合が徐々に増加していると言われます。
ごく少数ですが輸血・血液製剤、血液透析、歯科治療、鍼灸、入れ墨、ピアス、針刺し事故、歯ブラシなどが推定原因として挙げられます。さらに保育園での集団感染例や家族内の水平感染例などが報告されています。
今後、小児のワクチンが進めば集団生活や家庭内での水平感染は予防することができます。ワクチン接種対象者以外の子どもや若年者に対するワクチン接種を考慮する必要があります。