24時間体制で人の命に寄り添う。県公安委員長として警察行政を管理する立場になり、長年携わってきた看護師の仕事と、警察官の仕事との共通点を実感している。
県内の刑法犯認知件数は減少傾向だが、ドメスティックバイオレンス(DV)やストーカー、サイバー犯罪と多様化が進んでいる。その中で女性や高齢者が被害に遭った場合など、女性警察官が必要とされる場が広がっていると感じる。
看護師はかつて女性の職場だったが、男性看護師の新たな視点が持ち込まれるようになって活性化した。「県警も今まで通り『力強い警察』であるとともに、女性警察官を増やして多様な犯罪に対応できる組織にすべきだ」と指摘する。
一方で「過酷な仕事だけに職員のメンタル面が心配。看護師も同じだが、使命感が強い人ほど途中で燃え尽きてしまい、仕事が長続きしないことがある」と職場環境を気に掛ける。ワークライフバランス(仕事と生活の両立)の推進で、男性も女性も働きやすい職場づくりを提唱する。
1969年に小松島赤十字病院(現・徳島赤十字病院)の看護師としてキャリアをスタートさせた。四国各地の看護学校教員などを経て、厚生労働省の看護専門官として国立病院・療養所の独立行政法人化に携わるなど、臨床、教育、行政の各現場を経験した。2013年に県看護協会会長となり、看護師の確保対策や在宅ケアの体制整備を進めている。
座右の銘は、お茶席の掛け軸で見た禅の言葉「時々に勤めて払拭せよ」(いつも精進して心を磨かなければならない)。「なかなかできないけれど」と笑いつつ、一日一日すべきことをして、丁寧に生活をしようと自らを戒めている。吉野川市山川町。69歳。