徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 小児の細菌性髄膜炎の原因菌は月齢や年齢によって異なります。新生児では大腸菌などの腸管内細菌とB群溶連菌(GBS)が多く、乳幼児ではインフルエンザ菌b型(ヒブ)と肺炎球菌が多くなります。

 細菌性髄膜炎は細菌の増殖によってクモ膜下腔に炎症が起こり、そのため炎症性サイトカインと云う物質が誘導され、その結果、白血球の活性化、血管内皮細胞の障害、凝固系の活性化が起こります。このような炎症が脳実質や脳血管に波及すると脳浮腫、頭蓋内圧亢進、脳血流障害、脳血管炎、神経細胞障害を引き起こし、様々な神経症状を呈し、後遺症発生の原因になります。

 さらに細菌性髄膜炎の神経障害は、細菌に対する生体の免疫が過剰に反応することによって組織障害が起こると言われます。

 髄膜の炎症によって起こる症状には嘔気、嘔吐、易刺激性、食欲不振、頭痛、背部痛などがあり、脳浮腫や脳神経細胞障害によって意識状態の変化やけいれん、局所の神経症状が起こります。脳圧亢進の症状として大泉門膨隆、知覚過敏などが起こります。脳圧亢進が進むと脳ヘルニアを起こし生命に危険性が及びます。この時に瞳孔の異常、姿勢の異常、呼吸障害、眼球偏移などの症状が見られます。

 小児の細菌性髄膜炎の初期では年齢が低いほど症状が軽く典型的な髄膜炎の症状が現れにくいと言われます。新生児や乳児期早期には、なんとなく元気がない、ぐったりしている、哺乳が緩慢であるなどの症状で髄膜炎が発病することがあります。このような症状でも髄膜炎を考慮する必要があります。