徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)
小児の細菌性髄膜炎の原因菌は年齢によって異なります。新生児では大腸菌とB群レンサ球菌(GBS)が多く、乳幼児ではインフルエンザ菌b型(ヒブ)と肺炎球菌が多くなります。6歳以降の小児ではヒブが減少して肺炎球菌が中心になります。ヒブおよび小児用肺炎球菌ワクチン導入前の小児細菌性髄膜炎の原因別の頻度は、ヒブ髄膜炎が全体の約半数を、肺炎球菌による髄膜炎が約4分の1を占めます。次いで大腸菌、GBSの順となります。
ヒブと肺炎球菌に対するワクチンが実施されるようになって、小児の細菌性髄膜炎の頻度は低下しています。ヒブワクチンは2008年12月から、小児用肺炎球菌ワクチンは2010年2月からわが国に導入され、両ワクチンともに2010年11月には公費助成の開始、2013年4月から定期接種化されました。
細菌性髄膜炎の頻度低下の最も著しいものはヒブ髄膜炎です。ワクチン導入前後の比較調査では、ヒブ髄膜炎は毎年確実に減少してその減少率は100%であるとされます。
これに対して肺炎球菌髄膜炎の減少率は70%程度に留まります。これは肺炎球菌ワクチンに含まれる血清型がすべての血清型をカバー出来ていないためです。ワクチンに含まれる血清型による髄膜炎は確実に減少していますが、ワクチンに含まれない血清型の髄膜炎の比率が増加していると言われます。
ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンは乳幼児期の出来るだけ早期に接種すること、さらに1歳過ぎに追加接種を受けることも大切です。ヒブや肺炎球菌ワクチンが必要な理由を理解して接種することが重要です。