紙リサイクル業を営む会社を京都に興して12年。「歴史や伝統がものをいう地域。それでも少しずつ信用を積み重ね、何とか経営を軌道に乗せることができた」と感慨深げに語る。

 海陽町(旧宍喰町)出身。9人兄弟の末っ子で、中学卒業と同時に大阪で会社を経営していた親類を頼って徳島を離れた。身内の会社は気心が知れている半面、窮屈さもあって数年で退職。飲食業や運送業などさまざまな仕事をこなして生計を立ててきた。

 運送業を営んでいた50歳のころ、過当競争で料金を抑えざるを得ず、経営環境が厳しくなるばかりの業界に不安を感じた。「このままでは駄目だ。新しい世界で男を上げたい」。幸い、体力には自信がある。何が自分に向いているかを考え抜き、行き着いたのが暮らしに欠かせない廃棄物処理業やリサイクル業だった。

 銀行から3億円を借りて施設を整備し、55歳で開業した。新参者に対する同業他社からの風当たりは強く、顧客も思うように増えない。「よそがやってないことをして信用を勝ち取るほかにない」と覚悟を決め、身を粉にして働いた。

 年中無休、始業時間はどこよりも早い午前7時。行政や名の通った企業との取引を積み重ね、信用度を高めていった。10年で返す予定だった借金は、5年で完済。「この仕事が自分に合ったのだと思う」と振り返る。

 過労がたたって2年前に入院。以来、体調不良に悩まされている。最後に帰省したのは8年前。無理が利かなくなった今、望郷の念を募らせている。「離れてみて初めて良さが分かった。あれほどきれいな海や川、山はない。また戻りたい」と思いをはせている。

 しばもと・まさのり 宍喰中卒。2004年に京都グリーンセンター設立。同社は京都市の環境マネジメント認証制度「KES」のステップ1認証を取得している。京都市紙リサイクル事業協同組合理事。京都府長岡京市在住、67歳。