徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 子どもの呼吸器系の感染症は秋から冬に流行することが多く、その多くはウィルス感染症です。ウィルス感染症に対する治療は対症療法に限られます。しかし中にはマイコプラズマや百日咳のように適切な抗生剤療法が必要な疾患もありますから正しい診断をつける必要があります。今月は呼吸器感染症の代表的な疾患であるRSウィルス感染症についてお話します。

 RSウィルス感染症が重要な疾患である理由は新生児や乳児期早期に罹ると無呼吸や重篤な呼吸障害を発生する可能性がある点と、RSウィルスに罹患した児がその後喘鳴を反復したり喘息様症状を示すことがある点です。

 RSウィルス感染症の流行は地域によって多少異なりますが、毎年9月頃から翌年3月位までに見られます。

 このウィルスは鼻粘膜に感染して咳や鼻水などの感冒症状を示します。RSウィルスには1歳までに7割の子どもが罹り、2歳までにほぼ100%の子どもが一度は罹るとされます。さらに反復して感染すると言われます。また母体からの移行抗体は感染予防には効果が不十分であり、新生児や乳児期早期にもこのウィルスに感染することが知らされています。

 RSウィルスの潜伏期間は3~5日間です。患者の鼻水や飛沫によって感染します。ウィルスのついた手で鼻や目を触ると感染して鼻粘膜に感染を起こします。

 RSウィルスは再感染しますから年長児でも成人でも感染して感染源になります。新生児や乳児期早期には免疫があると思っていても咳エチケットなどの感染予防策を実施することが大切です。