徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 昔、麻疹(はしか)は誰でも罹るのが当たり前の病気でした。しかし麻疹は重い症状があるために体力や抵抗力が低下し、また肺炎や脳炎の合併症で多くの子どもたちが生命を落としました。今月は7月下旬から関空職員を中心に全国各地で麻疹が流行しました。改めて麻疹について考えてみました。

 昨年3月に日本は麻疹排除国としてWHOから認定されたばかりです。これは日本土着の麻疹ウィルスが検出されなくなったことを示しており、海外から持ち込まれた麻疹がゼロになった訳ではありません。今年の麻疹流行は遺伝子型からすべてが外国産のウィルスであることが判明しています。この事実は外国からウィルスが持ち込まれた時に社会全体の免疫がなければ、麻疹は何時でも流行する可能性があることを示しています。

 現在、流行の主役になっているのは20歳~30歳代の成人です。この年齢層は現在の子どもたちの親世代で、また社会活動の中心で活動する世代でもあります。現在の若い成人たちの子ども時代にワクチンが普及し始めた結果、麻疹に罹ったことがない人、ワクチンを受けたが免疫の出来なかった人、一度免疫が出来たが抗体が低下した人などが含まれます。

 麻疹ワクチンの効果は大きく、接種率が95%を超えると麻疹の流行がなくなると言われます。ただワクチンを接種しても免疫が出来ない人が数%あります。免疫が出来ない人が少数あってもほとんどの人がワクチンを2回受けていれば社会全体の免疫が高まり、大流行には至りません。子どものワクチン接種率は常に100%を目指します。