鍵に刻印された「MIWA」の文字で知られる錠前・鍵の国内トップメーカーで、一貫して営業畑を歩んできた。「鍵は家を買うと自然に付いてくるので、自分で買うという意識は薄い。それでも誰もが毎日使う、なくてはならない物ですよね」。人々の安全を守ることに貢献してきた42年の会社人生を誇りに思っている。

 時代とともに鍵も変わる。帰宅通知、出入り管理など機能は多種多様になり、最近はスマートフォンが鍵の役割を果たせるようになった。「扉に付く金物から、独自のアイデンティティーを持つものになってきた。今後はさらにIoT(モノのインターネット)化が進む」とみる。

 技術が進化する中、高齢者が使いやすい製品を提供するのも大きなテーマ。「営業マンは製品を売るだけではなく、情報を集めて商品開発につなげ、顧客のニーズに応える必要がある」と強調する。

 一昨年、45年ぶりに徳島市立高校の同窓会が開かれた。「長く会っていなくても、同級生のことは雰囲気で分かる」。以来、たびたび帰省して旧交を温めている。ボート部でインターハイに出場した思い出を語り合う時間は何物にも代え難い。

 地元の海陽町は子どもの頃と変わらない景色で迎えてくれるが、昔ながらの飲食店が少なくなったと感じる。高齢化・過疎化が進む地域がUターンの人材を獲得するには「雇用の場が必要」と指摘。県を挙げて企業誘致に工夫を凝らすよう望む。

 健康維持とストレス解消にとジョギングを初めて12年。たびたびハーフマラソン大会にも出場する健脚だ。「いつか地元の海部川風流マラソンに出てみたい」。日焼けした顔に穏やかな笑みが広がった。

 いけうち・すぐる 海部町(現海陽町)出身。徳島市立高から国士舘大に進み、卒業した1974年に美和ロックに入社。本社営業部を皮切りに、金沢支店、大阪支店でも営業を担当。97年に本社に戻り、2005年に取締役に就任。07年から現職。横浜市金沢区在住、65歳。