徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 麻疹が怖いのは、その症状が重く、合併症が多いこと、伝染力が強いために、体力や抵抗力のない子どもたちが次々罹患して苦しい思いをすることです。最近は子どもたちにワクチンが行き届いたお陰で流行を見ることはなくなりましたが、免疫のない成人の間で感染する麻疹が問題になっています。

 麻疹に罹ると10~12日間の潜伏期間を経て発病します。症状は発熱、咳、鼻水、目やにに結膜の充血などで、一般の感冒と同じような症状で始まります。この時期をカタル期と呼びます。発病の1日前からカタル期に最も多くのウィルスが排出されます。

 発病後2~3日すると一時解熱しかかり、口腔内にコプリック斑と呼ばれる麻疹特有の粘膜疹が出現します。翌日には発疹が出現して再び高熱になります。発疹は耳の後ろから出始め全身に広がります。この時期が発疹期です。発疹は濃い紅斑で解熱後には色素沈着を残して消退します。

 約1週間の経過で解熱して回復期に入ります。普段元気な子どもでも激しい咳や高熱によって、体力を消耗して、脱水症を起こすことがあります。さらに抵抗力が低下して肺炎や中耳炎などの合併症が見られることもあります。肺炎にはウィルスが直接肺を侵すウィルス性肺炎と、細菌感染による二次的な細菌性肺炎があります。いずれも重症の経過を取ることがあります。

 罹ると大変重篤な経過をとる麻疹には絶対に罹らせてはなりません。感染の可能性のある者からの隔離と、罹る前の予防接種は絶対に欠かすことの出来ない予防法です。