岩本さんらが発見した新彗星(矢印、岩本さん提供)

 徳島県阿波市阿波町早田のアマチュア天文家・岩本雅之さん(64)らが新彗星(すいせい)を発見し、「マックホルツ・藤川・岩本彗星」と命名された。日本人による彗星の発見は、岩本さん自身による2013年3月以来、5年ぶり。国際天文学連合(本部パリ)の天文電報中央局(米国)が11日(現地時間)に発表した。

 岩本さんの発見時刻は8日午前5時10分ごろ。自宅2階のベランダから、天体撮影専用レンズ付きのカメラで約50枚撮影した。

 画像をパソコンに取り込んで分析したところ、東の空を撮影した3枚がおとめ座の中に彗星をとらえていた。岩本さんは星図やインターネットで調べて未確認の彗星と判断し、国立天文台(東京)に画像データを送った。

 10等星程度の明るさで、肉眼では確認できない。今回の彗星は、香川県観音寺市の藤川繁久さんと米国のD・E・マックホルツさんも発見しており、発見順に「マックホルツ・藤川・岩本彗星(Machholz―Fujikawa―Iwamoto)」と名付けられた。

 阿南市科学センターによると、海外の大学などの研究機関がロボット望遠鏡を用いて自動観測を行う中、アマチュアによる新彗星の発見は極めて珍しいという。今村和義学芸員は「岩本さんの日々の観測の積み重ねが実を結んだもので、ものすごい快挙だ」と話す。

 天体観測歴四十数年の岩本さんはこれまで小惑星19個を発見、5個は「阿波」「土柱」などと名付けられた。13年には、13等星の彗星を発見し「Iwamoto」と命名されている。岩本さんは「運が良ければもう一度発見できるかなと思っていたが、前回よりも明るい彗星を発見できてとてもうれしい」と話した。