男子の全国高校駅伝徳島県予選で優勝し、大喜びする選手を少し離れた所から見つめ、感激に浸った。「100点満点。期待通りの走りをしてくれた」。終始トップを守る完璧なレースを見せた7人に賛辞を送った。

 美馬商時代から26年間率いた佐藤克人前監督からチームを託されたのは昨年4月。同校OBで、自身も師事した佐藤前監督からアドバイスをもらいながら、手探りで指導を始めた。

 初めてチームを率いた昨年の県予選で、同校は9年ぶりに全国切符を逃した。「再起を図らなければ」。一時代を築いた恩師のためにも頂点に返り咲く決意を固めた。

 同じ思いを共有する選手と掲げたスローガンは「ゼロからの挑戦」。伝統校の歴史にあぐらをかくことなく、挑戦者の気持ちでやり直そうとの思いを込めた。

 昨季はけが人が続出した失敗を踏まえ、選手のコンディションづくりに格別、気を配ってきた。一人一人と毎日やりとりする日誌には起床時間や練習メニュー、食事内容などを記載させ、気になる点は個別に話し合う。

 部活動以外の相談にも乗り、体調だけではなく選手のメンタル面にも注意を払った。その成果が表れたのか、今大会前に登録10人のうち、8人が自己記録を更新。都大路を懸けた大一番での快勝につながった。

 選手とともに成長し、伝統校にふさわしい指導者になるのが目標。「(つるぎ高校は)県内の長距離界をけん引する存在であり続けたい」と、熱い思いをのぞかせた。阿波市土成町で、妻と子どもとの5人暮らし。36歳。