徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 風疹の症状は比較的軽くほとんどが自然に治りますが、妊娠初期の女性が風疹に罹ると胎児に感染して先天性風疹症候群の子どもが生まれることがあります。妊娠可能な女性は風疹に対する免疫の有無を知って、妊娠する前にワクチン接種を考える必要があります。さらに家族の免疫の有無も確認しておくことが大切です。

 妊婦が妊娠初期に風疹に罹ると胎児も風疹に罹ります。胎児が風疹に罹ると完成していない臓器が風疹ウィルスに侵されて、先天的な障害の原因となり、その結果、出生した子どもが先天性風疹症候群になります。風疹感染の時期が妊娠初期ほど障害は大きく重症になります。妊娠20週までに感染を受けると障害を発生する可能性があり、妊娠後半の感染では障害は残さないとされます。

 先天性風疹症候群の児は新生児期に一時的に低出生体重、肝脾腫、肝炎、黄疸、血小板減少、出血斑、溶血性貧血、リンパ節腫大などが見られます。

 さらに永久的な症状として眼症状、心疾患、聴覚障害、中枢神経症状などが現れます。

 眼症状には白内障、網膜症、小眼球症、緑内障、斜視などが見られます。心疾患には動脈管開存症、肺動脈狭窄が多く、心房欠損症や心室中隔症もあります。聴覚障害は本症に特徴的であり、両側高度感音性難聴が典型的です。中枢神経症状として小頭症、精神運動発達遅滞、四肢麻痺、発達障害などが見られます。これらの症状を根本的に治すことは出来ません。早期に診断を付けてそれぞれの症状に対応した治療を行います。