徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 百日咳は百日咳菌による呼吸器系の細菌感染症です。感染すると痙攣性の咳が発作的に出現して、小児にとっては大変重篤な症状を示す疾患です。多くの乳幼児はワクチンで百日咳から守られていますが、成人の百日咳の集団発生の報告が最近増加しています。今月は百日咳について考えてみました。

 百日咳菌に感染すると7~10日の潜伏期間を経て発病します。最初の症状は軽い風邪症状と変わりません。この時期をカタル期と呼び、約2週間続きます。この時期に百日咳の診断をつけることは困難ですが、百日咳菌の伝染力が最も強いのはこの時期です。

 カタル期を過ぎると痙咳期と呼ばれる激しい咳の見られる時期になります。咳発作は夜間に多く、短い咳が連続して(スタッカート)その後息を吸う時にヒューという特徴的な音が出ます(ウープ)。このような咳発作を繰り返すことをレプリーゼと呼びます。1日に何度も咳発作が見られ、同時に嘔吐やチアノーゼ、無呼吸などが見られます。咳発作に陥ると体力の消耗が著しく脱水症や栄養不良を引き起こすこともあります。合併症として肺炎や脳炎が見られることもあります。この時期は2~3週間続きます。

 痙咳期を過ぎると回復期に入り咳発作が減少して2~3週間の経過で治癒します。

 百日咳は新生児や乳児期に罹ると重症になることが多く、生後6か月未満に罹患すると死亡する率が高くなると言われます。百日咳は母親からの移行抗体による予防は期待できませんから新生児でも百日咳に罹る可能性があります。出来るだけ早期にすべての乳児が予防接種を受けておかねばならない疾患です。