7月10日投開票が有力な参院選は想定される公示日の6月22日まで1カ月を切った。憲政史上初の合区となる「徳島・高知」選挙区(改選数1)に立候補を予定しているのは、自民党現職の中西祐介(36)、民進、共産両党が推薦する無所属新人の大西聡(53)、幸福実現党新人の福山正敏(45)の3氏。現職の強みを生かして支持拡大を目指す中西氏と、安全保障関連法の廃止を軸に野党結集を図る大西氏が激しい前哨戦を繰り広げている。

 中西氏は国会審議の合間を縫い、徳島、高知両県の国会議員事務所職員や県議らの案内で、地域の有力者、企業・団体へのあいさつ回りを重ねている。各種会合にも積極的に出席し、支持拡大を図っている。

 これまでは比較的知名度の低い高知での活動に重点を置いていたが、最近は徳島でも動きが目立つ。時間があれば街頭にも立ち「合区をなくすためにも自民に参院で過半数を取らせてほしい」などと訴えている。

 21日には福山守衆院議員(比例四国)の政治資金パーティーに出席して支援を呼び掛けた。29日には高知市である自民高知県連の大会に出席する。

 大西氏は、両県の県議や市町村議らとのあいさつ回りや街頭演説に力を注ぐ。安全保障関連法やアベノミクスなど現政権の政策や国会対応を批判し「憲法に基づく国民のための政治、経済政策を実現する」と訴える。

 ただ徳島新聞などの世論調査で、社会保障を最も関心のある政策課題に挙げる有権者が多かったことを踏まえ、最近は子育てや教育、年金問題を優先する場面も増えている。

 21日は枝野幸男民進党幹事長、22日には岡田克也同党代表が応援のため相次いで来県。市民団体の動きも活発で、無党派層や若年層の取り込みを図ろうと「投票へ行こう」と呼び掛けている。

 福山氏は支持母体の宗教団体関係者らと共に、地道な街頭演説やあいさつ回りで浸透を図る。両県の山間部や過疎地も小まめに回って減税特区構想や国防強化などを訴えている。28日には徳島市新町橋2で後援会の事務所開きをし、初めての選挙戦に挑む。

 参院選の公示は通常、投開票日の17日前で今回は6月23日となるが、沖縄戦の戦没者を追悼する「慰霊の日」と重なるため、政府、与党は1日前倒しした22日を軸に検討している。