第24回参院選は22日に公示され、7月10日の投開票日に向けて18日間の選挙戦に突入する。選挙権年齢が「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられるほか、憲政史上初となる合区「徳島・高知」「鳥取・島根」両選挙区(各改選数1)が導入される。安倍晋三首相は経済政策「アベノミクス」の是非を最大の争点に掲げ、与党による改選議席(121議席)の過半数獲得を目指す。一方の野党は安全保障関連法の廃止を軸に結集し、改選1人区で統一候補を擁立する。憲法改正の国会発議に必要な3分の2以上の議席を自民などの改憲勢力が獲得できるか、与野党の激しい選挙戦が予想される。
「徳島・高知」選挙区には、中西祐介(36・自民現)、福山正敏(45・幸福新)、大西聡(53・無所属新=民進、共産、社民推薦)の3氏が立候補を予定している。
中西氏は「地方から代表を出せる制度に変えなければいけない」と、合区の解消を声高に訴えている。徳島、高知両県が高速道路や高速鉄道の整備が行き届いていない「ダブルミッシング地域」であることを強調。地方創生や南海トラフ巨大地震を見据えた防災・減災の面からも、基礎インフラの整備が必要だと主張している。
大西氏は、安全保障関連法について「憲法に正面から違反する」と廃止を掲げる。アベノミクスに関しては「格差と貧困の拡大を招き失敗だった」と指摘。子育て・教育分野への予算の重点配分など社会保障の充実が消費拡大、景気回復につながると主張する。憲法改正では、自民党改憲草案をベースとした改正に反対している。
福山氏は、大胆な規制緩和と減税政策の実施を掲げ、雇用の確保や地場産業の活性、新産業の創出などを力強く訴えている。
県境を越える初めての戦いとあって、各立候補予定者は手探りの状態でこれまでの前哨戦を展開。現職の強みを生かす中西を野党共闘で支持拡大を狙う大西が追う格好で、与野党の事実上の一騎打ちとなりそうだ。
選挙権年齢の引き下げで、徳島、高知両県合わせて新たに約2万8千人が有権者に加わる。「徳島・高知」選挙区の有権者数は約125万人(2日現在、20歳以上)で、徳島選挙区で行われた前回参院選(2013年)の約65万人から倍増する見通し。