元宝塚歌劇団トップスターの瀬戸内美八さん(71)が主宰するダンススタジオひまわり(徳島市)が設立35周年を迎えた。ジャズダンスの人気は健在で、華麗なステージに立つことを目指して女性たちが日々、レッスンに励んでいる。
スタジオひまわりは、瀬戸内さんが宝塚を退団した1983年、徳島市両国橋のテナントビルに開設。「徳島でもダンスが身近になればいいなと思った。バブルの前の頃で日本人が引っ込み思案を改め、自己表現しようと変わりつつあった」と当時の空気を振り返る。
瀬戸内さんは退団直後に米国に留学したため、当初は宝塚出身者を講師として招いていた。翌年の帰国後、徳島駅前の一番町に移転して態勢が整った。
映画「フラッシュダンス」やマイケル・ジャクソンさんの代表曲「スリラー」のミュージックビデオなどが世に出されて世界的なダンスブーム。本格的なジャズダンスが学べるとあって、若い女性らが続々とひまわりに入会した。
87年に市文化センターで初の発表会を開催し、約100人が初めてステージに立った。以後、隔年で発表会を開いてきたほか、生徒たちは「阿波の狸(たぬき)まつり」「吉野川フェスティバル」といったイベントに出演。福祉施設への慰問公演なども精力的にこなしてきた。
現在は同市末広5のスタジオに3歳から70代までの約160人が通う。瀬戸内さんのめいで、宝塚歌劇団の瀬戸花まりさんもかつてはレッスン生だった。
34年間通っている菊原雅子さん(54)=徳島市大谷町、ケアマネジャー=は「世代を超えてみんなが一緒に踊るのが楽しい。体を動かすのは気持ちいいし、脳の活性化にもなる」とはつらつと話す。
近年、特に若者の間ではヒップホップをはじめとするストリート系ダンスが流行。ジャズダンスは押され気味だが、健康志向の高まりもあって人気は根強い。
35年を振り返り「徳島の人は熱心で簡単に諦めないし、阿波踊りの血が流れているのか踊り好きが多い」と瀬戸内さん。これからも現役女優として、東京や関西の舞台に立ち、新しい演出を吸収しながらひまわりのステージに生かす考えで「今の時間を大切にして指導を続けたい」と話している。
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ダンススタジオひまわりは12月24日午後2時から徳島市のアスティとくしまで第16回発表会「ダンシングフール35」を開く。入場料999円(当日1200円)。問い合わせは同スタジオ<電088(623)5810>。
瀬戸内美八(せとうち・みや) 城東高2年の時に宝塚音楽学校に入学。1966年に宝塚歌劇団に入団。花組、月組を経て79年に星組トップスターに就任した。83年退団。2014年に宝塚歌劇の殿堂入り。