2020年東京五輪の聖火リレーを巡り、ルート案の取りまとめを担う徳島県が難しい判断を迫られている。1964年に開かれた前回の東京五輪は沿岸部を中心に約148キロを走ったが、今回、大会組織委員会が徳島県に割り当てた2日間の走行距離は最大約32キロと前回の4分の1以下にとどまるためだ。国内外への魅力発信や地域のスポーツ熱向上の好機とあって県内24市町村はこぞって誘致に手を挙げており、組織委が提出期限とする12月末までにどう決着させるか苦慮している。
聖火リレーは、20年3月26日に福島県を出発し、7月24日までの121日間で全国を巡る。1日当たりの走行時間は最大8時間、走者は約80人、走者1人当たり約200メートルといった条件があり、1日の走行距離は最長約16キロになる。
徳島県には4月16、17両日が割り当てられており、大阪府から引き継ぐ。県は9月に実行委員会を立ち上げて検討に着手した。12月中に開く第2回会合でルート案を示し、承認が得られれば組織委に提出する。最終的には組織委がルートを正式決定し、来夏発表する。
組織委からは「できるだけ多くの人々が見に行けるルート」「地域が国内外に誇る場所や地域の新たな一面を気付かせる場所」といったルート選考の基準が示されている。
前回大会では旧宍喰町(現海陽町)の高知県境から鳴門市の香川県境まで105区間計148・4キロを3日間で走破。沿道から20万人を超える県民が声援を送ったが、今大会はルートを大きく絞り込む必要がある。
聖火は県境などの一部で車で運ぶことも想定されている。このためルートの分割も可能で、県は県南や県西部も除外せず検討する。市町村には「うだつの町並みなど市の魅力が伝わるルートを選んでほしい」(美馬市)、「美しい海を臨む大浜海岸沿いのルートを」(美波町)と誘致への期待が高まっている。
県の担当者は「今はどのような観点で選べば良いか検討している段階。具体的なルート案はこれから」と説明する。どんなルートが多くの県民の支持を得られるのか。提出期限が近づく中、難しい選択を迫られている。