コウノトリのペア(両端)と3羽のナベヅル=15日午後2時20分ごろ、鳴門市大麻町三俣(浅野さん提供)

 コウノトリのペアが巣作りしている鳴門市大麻町の畑に環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に指定されているナベヅル3羽が飛来し、5羽が並んだ姿を地元住民が写真に収めた。専門家は「餌場が異なる、珍しい鳥同士の取り合わせ。めったにない」としている。

 コウノトリの観察を続けている近くのパート従業員浅野由美子さん(45)が、15日午後2時20分ごろ、巣近くのレンコン畑で撮影した。

 見慣れないナベヅルに興味津々といった様子のコウノトリが徐々に近付き、並んだ。体長1メートル余りのコウノトリより一回り小さいナベヅルは驚いて羽を広げたり鳴いたりし、30秒ほどで飛び立ったという。浅野さんは「貴重な瞬間を収められてうれしい」と話した。

 日本野鳥の会県支部によると、ザリガニや魚を餌とするコウノトリに対し、ナベヅルは主に稲を収穫した後の「二番穂」を食べる。三宅武支部長は「多様な餌がある鳴門の環境が豊かな証し。ナベヅルは特に警戒心が強いので、コウノトリ以上に遠く離れた場所から見守ってほしい」と話している。

 ナベヅルはロシアと中国の国境付近にある湿地帯で繁殖し、越冬のために日本に飛来する。来年3月まで鳴門にとどまる可能性がある。