渡り鳥ミズナギドリの死がいを、研究者が解剖している。大きさは30センチほど。胃袋がぱんぱんに膨れている。はさみで切り開くと、大小のプラスチック片が出るわ出るわ。234個も詰まっていた。死につながったのは疑いようがない

 「プラスチックの海」は、東京の国連広報センターがインターネットで公開している啓発動画。むごい映像だが、実態なのである

 上勝町のNPO法人ゼロ・ウェイストアカデミーの藤井園苗(そのえ)さんは、講演でこの動画を流している。町はごみ排出ゼロを目指して15年。資源ごみのリサイクル率は全国屈指の81%に及ぶものの、脱プラスチックは今なお懸案だ

 国連の推計では、プラスチックごみは年3億トンに達する。30年後には海にいる魚の量を上回るという試算もあり、渡り鳥やウミガメの生態をますます脅かす。使い捨てストローなどの使用を控える動きが加速しているのは、妥当な流れだろう

 さらには、洗顔料や歯磨き粉に含まれる微粒子のプラスチックが海に流出している問題。巡り巡って人体に影響する恐れがあるというから無視できない。「例えば成分表示にポリプロピレンとあれば、絶対ダメと思って」と藤井さん

 個人の意識が問われていよう。「プラスチックの海」をしょせん鳥の問題と割り切るか、わが身に関わる非常事と受け止めるか。