メッセージゼッケンに熊本復興支援への思いを書き込むランナー=徳島市立体育館

メッセージゼッケンに熊本復興支援への思いを書き込むランナー=徳島市立体育館

 「熊本頑張れ」「共に乗り越えよう」。熊本地震復興支援チャリティ・とくしまマラソン(徳島陸協、県、徳島市、徳島新聞社など主催)を翌日に控えた23日、徳島市立体育館で受け付けが行われ、参加者は収益を義援金に充てる「メッセージゼッケン」に思いを書き込んだ。熊本からエントリーしていた7人は全員不参加となったが、全国から集結したランナーは「7人の分も走る」とばかりに決意をみなぎらせた。

 参加者は受け付けを終えると1枚千円のメッセージゼッケンを次々と買い求めた。「熊本 心はひとつ!!」と書き込んだ増野稔さん(47)=高松市、市職員=は、東日本大震災の復興支援のため2013年度から2年間、宮城県山元町に派遣され、津波で家を失った住民らの高台移転支援に当たった。

 「山元町も少しずつ復興が進んでいる。熊本の7人が出られないのは残念だが、必ず復興すると信じてほしい」とエールを送る。

 徳島市出身の中尾茜さん(30)=千葉県浦安市、会社員=は、東日本大震災で市内が液状化に見舞われた当時を振り返り「人ごとと思えない。少しでも被災者の助けになれば」と願いながら「希望を忘れず一歩ずつ!」と記入した。

 県内のランナーも思いは同じ。「がんばろうくまもと」と書いた吉田侑祐さん(31)=阿南市富岡町第住町、会社員=は「いつ南海トラフ巨大地震が起き、全国の人たちに支援してもらうことになるか分からない。熊本復興への願いを胸に走る」と力を込めた。

 抽選会などがあった前日祭会場の藍場浜公園には募金箱が設けられた。美波町出身の佐藤郁美さん(56)=東京都墨田区、ピアノ教師=は、熊本県八代市に住む親友を思いながら寄付した。

 発生直後に携帯メールで安否を尋ねると、返事は「頑張る」の一言。「何も考えられないくらい苦境に立っているのだろう。今はどんな言葉を掛けたらいいのか分からない」

 悩んだ末、ゼッケンには熊本県のPRキャラクター・くまモンの絵だけ描いた。「力いっぱい走ることで元気を届けられれば」。ランナーたちはさまざまな思いを胸に阿波路を駆ける。