徳島県神山町の「手作り焼き菓子 morinoko」は、食品添加物の使用をできる限り抑えた優しい味わいのクッキーで徳島県内の女性らから支持されている。県内では徳島市内2カ所でしか販売されておらず、入荷するとすぐに売り切れるほどの人気だ。そのおいしさの根底には「子どもに安心して食べさせられるものを作りたい」という母の愛が込められている。
morinokoのクッキーは、神山町出身で板野町在住の河端郁江さんが、神山の実家に構えた小さな工房ですべての工程を1人で手掛けて作っている。北海道産小麦や県産米粉、無農薬・無肥料で栽培された果物といった材料にこだわり、食品添加物や香料が加えられた材料はできるだけ使わないようにしている。
20種類以上ある商品のうち、一番人気はショートブレッドのプレーン(4個入り240円)。甘さ控え目の優しい味わいで、口の中でホロホロと崩れる食感が楽しい。きな粉クッキー(4個入り200円)や、レーズンバー(4本入り150円)なども人気が高い(価格は税込み)。
幼い頃から母親と一緒にクッキー作りなどを楽しんでいた河端さんは、小学校高学年の時にはレシピ本を参考に1人で作れるまでになっていた。大学時代には日常を忘れてくつろげるカフェの魅力にハマり、「いつか手作りのお菓子を出せる店を持ちたい」と考えるようになった。
22歳の時に大阪の製菓学校に半年間通い、技術を改めて習得。会社勤めの傍ら、作ったクッキーを知人らに食べてもらったところ「おいしい」と好評で、徐々に自信を深めた。長男が3歳になり、保育園に通いだして時間に余裕ができたことから、昨年7月に工房を開設した。
以前から素材にはこだわっていたが、「長男が生まれてからは、自分の子どもに食べさせて安心なものを作りたいと考えるようになった」と話す河端さん。小麦粉は、よりおいしくて安全だと思える国産の銘柄を探して切り替えたり、砂糖の量を減らしたりするなど改良を加えた。
徳島市応神町西貞方の産直市「喜多野安心市」と、同市上八万町西山の雑貨店「modeee(モディ)」で委託販売しており、週1、2回納入しているものの、すぐに売り切れる人気ぶりだ。購入者からは「おいしくて、食品添加物が入ってないので安心」などと好評だという。
好調な売れ行きを受けて、現在1台しかないオーブンを増設して製造を拡大することを検討している河端さん。「今後も手作りのぬくもりが伝わる、安心でおいしい商品を作り続けたい。そしていつかは、お客さんと直接向き合えるカフェを出せたら」と夢を膨らませている。
商品の出荷日はmorinokoのインスタグラム〈 https://www.instagram.com/morinoko_yakigashi/ 〉で告知している。2店での店頭販売のほか、喜多野安心市に備え付けの用紙で申し込めば受注製造にも応じている。