来年10月の消費税増税に備えた景気対策の議論が大詰めを迎えている。

 政府が導入を目指すのは、キャッシュレス決済時のポイント還元やプレミアム付き商品券の発行などだ。買い物に使えるポイントを、マイナンバーカードに加算する案も挙がっている。

 家計への配慮や景気の腰折れ防止は重要な課題である。しかし、導入にはさまざまな問題があり、効果が不透明なものも多い。経費が膨らめば増税する意味が薄れ、本末転倒になろう。

 与党からは来年の統一地方選と参院選をにらみ、歳出拡大を求める声が出ているが、景気対策に名を借りた「ばらまき」になってはならない。

 ポイント還元は、中小事業者での利用に限り、クレジットカードなどで買い物や飲食をした場合、ポイントがもらえる仕組みだ。当初、増税分の2%としていたが、安倍晋三首相はきのう、5%で調整する考えを示した。

 ただ、中小の店には決済用端末がない所が多く、新たに設置する必要がある。カード会社は中小事業者かどうかを識別するため、大規模なシステム改修を迫られる。自動車やゴルフ会員権など高額な買い物は除く方向だが、線引きは難航しそうだ。

 さらに問題なのは、カードを持てない低所得の人が恩恵を受けられないことである。利用額に上限を設けなければ富裕層ほど得をする。公平性に欠けると言えよう。

 プレミアム付き商品券は、消費税率を8%に上げた2014年にも発行された。購入額より高い買い物や飲食ができ、国が上乗せ分を出す。

 今回は、住民税非課税の低所得者や0~2歳児を育てる世帯を対象にするという。家計の助けにはなるものの、浮いたお金が貯蓄に回れば景気浮揚の効果は限られる。内閣府の試算によれば、前回の消費喚起効果は、投じた国費約2400億円に対して1千億円ほどだった。

 このほか、与党の税制改正作業では、住宅ローン減税の延長や自動車税の恒久減税など、減免項目がめじろ押しとなっている。

 「国土強靭化(きょうじんか)」に向けた公共事業も、19年度予算案で上積みされる方向だ。

 前回の増税では、消費低迷が長引いた苦い経験がある。とはいえ、今回は軽減税率の導入もあり、日銀の試算では増税による家計負担は2・2兆円と、8兆円だった前回の3割弱にとどまるとされる。

 消費税増税の狙いは、危機的状況に陥っている財政の再建と、少子高齢化に対応する社会保障の充実である。

 増税で見込まれる5兆円強は、そのために使うべきであり、大盤振る舞いで本来の目的を逸脱してはならない。

 12年に社会保障と税の一体改革を決めた際、国会は定数や歳費の削減など「身を切る改革」を国民に約束した。それが果たされていないことも忘れないでもらいたい。