1970年、前の大阪万博の時である。月の石やソ連館と見たい展示はあれこれあったが、大人は分かってくれない

 「並んでまで見るもんやない」。園児の提案は即座に却下された。おかげで太陽の塔以外、何館に入ったのやら、さっぱり記憶がない。でも、そうなのだ。万博の記憶、やたらと輝かしいのである

 「人類の進歩と調和」というスケールの大きなテーマが、そう的外れでもない。未来や希望がつまっていた、と今にして思う。迷子対策で胸につけさせられたバッジ一つにすら、わくわくした

 振り返れば「こんにちは こんにちは」と三波春夫さんの歌声が聞こえる。あんな体験を、再び子どもたちにさせてやれるだろうか。2025年万博の大阪開催が決まった

 「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに健康や医療に関する技術貢献を目指す計画だという。大阪経済復活の起爆剤として2兆円の波及効果を見込む。想定来場者は前回の半分以下の2800万人。ちなみに05年の愛・地球博は2200万人だった

 ちっとも、わくわくしないのは、子ども心を忘れてしまったから? でもないだろう。会場の人工島・夢洲(ゆめしま)には、カジノを含む統合型リゾート施設誘致の計画もある。お金の話ばかりが先行する万博である。夢はお金で買えない、と小さな声でつぶやいてみる。