津田インターチェンジの工事現場で鉄筋の結束作業をする徳島科技高生=徳島市津田海岸町

 徳島県内の建設業界で若手不足が続いている。3K(きつい、汚い、危険)のイメージが根強く、休みも少ないため敬遠されているようだ。公共事業減少で先行き不透明感は拭えないものの、次世代を担う人材の確保や育成に向け、県建設業協会では懸命にイメージアップを図っている。
 
 県建設業協会は2013年度から会員企業の雇用実態を調査しており、17年度は全408社のうち147社から回答を得た。これによると、被雇用者のうち技術系の50代以上が55・2%(13年度50・7%)と全体の半数以上を占め、20代以下は6・8%(同6・3%)にとどまった。

 各社とも若手の入職(就職)はほとんどなく、離職が目立つ。セノオ(徳島市)の技能系従業員は40~70代の13人。「採用に関する問い合わせは、何年もない」と兼子信之社長は高齢化を嘆く。

 背景には4週6休や土曜出勤があり、同協会青年部の藤井傑会長は「工期や経費を考えると、完全週休2日は難しい」と言う。さらに技術系は雨が降れば休みとなり、働いた日数分が支給される「日給月給制」契約が多いため不安は大きいようだ。

 17年度の県内公共事業額は約1200億円で、この20年間で半減した。建設不況による採用手控えが進む一方で、県内建設業の9月の有効求人倍率は3・82倍と昨年同時期を0・69ポイント上回り、売り手市場が加速している。

 政府が受け入れ拡大を狙う外国人労働者数をみても、昨年10月時点で県内建設業は222人(前年比50人増)と、総数4024人の5・5%にとどまる。

 県内高校新卒者のうち、17年度に県内建設業に就いたのは5・7%。深刻な若手不足で技術伝承に危機感を抱く同協会は今春、業界PRのため子ども向けの職業体験イベントに初参加した。

 建設業の役割や魅力を高校生に知ってもらおうと、11月には工事現場の見学会を実施。5日は徳島科学技術高の2年生55人が徳島市などの現場4カ所を訪れ、四国横断自動車道・津田インターチェンジ(仮称)では鉄筋の結束作業に取り組んだ。

 県建設業協会の小島祥圓事務局長は「工事の必要性を周知し、やりがいのある仕事だと思ってもらう。職場環境も早急に改善し、若い人材の確保につなげたい」と話している。