取材活動中のネット接続は主に無線LANサービスのWiFi(ワイファイ)を使っている。主催者側は試合会場や宿泊地、各地をつなぐシャトルバス内でサービスを提供しているため、非常に便利だ。

 しかし、先日、接続が不調になった。メインプレスセンターのサービスコーナーで設定し直そうと試みたが、うまくいかない。何度パスワードを打ち込んでもエラー画面に戻ってしまう。困り果てていると、ボランティアの中年女性が「メイ・アイ・ヘルプ・ユー」と近寄ってきた。

 事情を説明すると、慣れた手つきでキーボードを打ち、パスワードの認証状況を調べてくれた。日本のパソコンなのに、次々にページを開いていく。「日本語分かるの」と聞くと「コンニチワ、だけ」と笑う。数分後、認証を再度取得すれば使えることが判明した。

 驚いた。どう見ても普通のおばさんだが、ネットやパソコンを使いこなしている。そういえば以前、駅で道を尋ねた店員はスマホで地図を見せてくれたっけ。

 「ガラパゴス日本」なら、若者はともかく一定の世代以上でここまでITを使いこなせているだろうか。電子機器の技術は世界一と威張ってみても、市民の活用度においては、はるかに及ばないのではないか。

 かくいう自分も決してITに詳しい方でない。しかし、リオに来て、語学力だけでない日本との格差を痛感した。