バドミントン女子ダブルスの松友美佐紀選手(24)=藍住町出身=の金メダル獲得に思わず涙してしまった。大逆転劇は夢の中の出来事のようにも思えるが、会場で父伸二さん(53)母千恵美さん(51)と祝福の握手を固く交わしたことははっきりと覚えている。

 1カ月ほど前、松友選手は徳島新聞社を訪れ、色紙に「やってきた事を出し切る!!」と抱負をしたためた。その通りの最高のプレーを見せてくれた。間違いなく、リオ五輪での日本勢のハイライトの一つだ。普段はクールな松友選手が表彰台で君が代を聞きながら目に涙をためているのを見て、再び目頭が熱くなった。

 伸二さんと千恵美さんには4月から取材を続けてきた。自宅にお邪魔し、小中学校時代のエピソードを聞いたり、当時のアルバムや試合の映像を見せてもらったりした。

 千恵美さんが「本当は本番までそっとしておいてほしいんですけどね」と、ぽつりと漏らしたのが忘れられない。ぎりぎりの勝負に挑もうとする娘に、無用のプレッシャーや過度の期待をかけてほしくない。そんな配慮と愛情が胸に響いた。

 松友選手は強くなった理由をこう話す。

 「もっと強い選手になりたい、勝てるようになりたい。その一心でラケットを振り、ライバルと戦ってきた。それが自分を成長させてくれた」。どんな時も向上心を失わなければ、夢をかなえられるということだ。

 金メダルは未来のアスリートたちに希望を与え、県民に最高のプレゼントとなった。五輪はリオで31度目。しかし、県関係の金メダリストは、松友選手を含めてもわずか3人しかいない。素晴らしい試合を見せてもらい、その誕生の瞬間に立ち会えた喜びと幸運を実感する。松友選手、本当におめでとう。そしてありがとう。