20カ国・地域(G20)首脳会合があす、アルゼンチンで開幕する。

 米国と中国の貿易摩擦が激しさを増す中、両国の緊張緩和が図れるか。保護主義に反対する姿勢を打ち出せるかどうかが最大の焦点だ。

 先に開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議では、通商問題などを巡って米中の対立が鮮明になり、首脳宣言が見送られた。それだけに、今回も首脳宣言を出せない事態に陥れば、国際社会の対立と分断が深刻化しかねない。

 参加する日米欧、中ロは、協調体制を堅持し、開かれた市場を維持していくためにも結束を確認する場にしなければならない。

 注目されるのは、貿易摩擦が激化して以降、初めてとなる米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席による首脳会談である。

 トランプ氏は、中国からの輸入品2千億ドル(約22兆7千億円)分に課した10%の追加関税率について、来年1月に25%に引き上げる方針を示している。会談の成り行き次第では、追加関税の対象を全輸入品に拡大するという。

 巨額の貿易赤字の削減や知的財産権侵害の是正を要求しているほか、国有企業の優遇や製造業の長期戦略「中国製造2025」の見直しも求めるなど、強硬姿勢に変わりはないようだ。

 一方、中国にとって国有企業の優遇是正などは、社会主義体制の根幹に関わるものであり、踏み込んだ妥協案を示すのは難しいとみられる。

 しかし、物別れに終わらせてはならない。重要なのは貿易摩擦解消に向け、受け入れ可能な解決策を探り、対話の道筋をつけていくことだ。

 両国のせめぎ合いは今、世界経済に悪影響を及ぼす最大の懸念材料となっている。日本企業も警戒感は強い。国際協力銀行が、海外で事業展開している国内製造業に保護主義拡大の影響を尋ねたところ、全体の33・9%の企業が利益の減少を迫られると回答した。

 G20の声明草案には、反保護主義を明確に示した文言が盛り込まれていないとの報道もあるが、拡大する保護主義に警鐘を鳴らし続けなければならない。

 もう一つ、注視されるのはトランプ氏とロシアのプーチン大統領との首脳会談だ。

 ウクライナ情勢を理由に中止もあり得るようだが、実現すれば7月のヘルシンキ以来となる。焦点は、トランプ氏が中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄を通告するかどうかだ。

 プーチン氏は条約を破棄すれば対抗策を取るとしているが、緊張が高まるような事態に発展させてはならない。

 安倍晋三首相も、G20に合わせてトランプ氏や習氏、プーチン氏らと個別に会談する予定だという。保護主義台頭への強い危機感を持ち、国際協調の大切さを訴えていくことが重要だ。