徳島県内公立学校の教員採用試験で受験者が年々減少している。2019年度春採用の受験者は1145人、平均競争率4・6倍といずれも過去10年で最低となった。民間企業の採用が好調な上、教員の多忙な労働環境が敬遠され、学生が民間に流れたとみられる。全国的にも同様の傾向があり、県教委は人材確保に力を入れている。

  過去10年間の受験者数は≪別表≫の通り。13年度の1559人をピークに減り、19年度は初めて1200人を割り込んだ。

 受験者が減少する中、第2次ベビーブームへの対応で大量採用した教員が定年退職を迎え、若手の採用が増加。このため競争率は年々低下している。10年度は1444人の受験者に対し、合格者は178人で平均倍率は7・4倍。19年度は受験者1145人に対し、合格者は229人に増え、倍率は4・6倍に下がった。

 文部科学省によると、全国の平均倍率は徐々に下がり、18年度(19年度は未発表)は5・2倍。徳島は5・3倍で全国平均より高いものの、年々差は縮まっている。

 県内の有効求人倍率は1・44倍(9月)で、民間は売り手市場が続く。県教委教職員課は「教員は多忙で保護者対応も大変という印象を持ち、敬遠されるケースもあるのでは」と分析する。

 一方、学生支援を担当する鳴門教育大の田中弘之副学長は「真剣に教員を目指す学生に大きな意識の変化は見られない。教職大学院を修了すると1次試験で有利になる県もあり、院に進む学生が増えている」と話す。

 県教委は本年度、大学生向け説明会を中四国や近畿の18校で実施。教育学部以外でも求人活動を行っている。教員経験や社会人経験を考慮する「特別選考枠」についても、民間勤務経験を5年以上から3年以上に、臨時教員の勤務経験も36カ月以上から24カ月以上に短縮するなど要件を緩和した。

 県教委教職員課の藤川正樹課長は「教員として働くことの魅力を発信して、優れた人材の確保に努めたい」と話している。