心配性は直らない。この時季、傘寿を超えた母が、息子に決まって言う。車には十分気をつけよ。師走が近づき、日が暮れるのは早い。「逢魔(おうま)が時」は駆け足でやって来る

 還暦近い息子にいまさら何を、とやり過ごすことはできない。年を重ねれば、それなりに運転に危うさが出てくる。反応は次第に鈍くなってくる。通い慣れた道でさえ侮れない。注意に注意を、と言う以外にないのかもしれない

 先日、心配性の母を乗せ、美馬の紅葉を眺めた帰り道、阿波市吉野町柿原の県道を通った。片側1車線の見通しの良い直線道路である。おととい、その道で軽乗用車が電柱に衝突し出火、3人が亡くなった

 事故が発生したのは午後5時50分ごろというから、日はとっぷりと暮れていた。雨も降り、路面はぬれていたという。何があったのか、どんな理由で運転操作を誤ったのか定かではないが、ほんの一瞬にして、3人ものかけがえのない命が失われた。痛ましい限りだ

 その夜、松茂町笹木野の県道で乗用車が用水路に転落して1人が亡くなった。東みよし町昼間の町道では、乗用車が歩道の防護柵に衝突し、3人が死傷する事故が起きた

 本紙夕刊には交通事故統計が載っている。亡くなった人の数だけ、事故の数だけ悲しみがある。無事の帰りを待つ人のためにも安全運転を心掛けたい。