土に埋まっていたごみを掘り出す参加者=23日、阿波市土成町宮川内

 徳島県阿波市土成町宮川内の山中に、大量の粗大ごみや家庭ごみが不法投棄されている。地元住民が今月、10トン以上のごみを回収しても、沿道の谷底などに多く残っている。一帯は紅葉や名物料理が楽しめる観光名所。住民は心を痛めており、市は対策を強化する。
 
 現場は、宮川内ダムから香川県方面に約2・5キロの国道や市道沿い。住民によると、20年以上前から粗大ごみなどが捨てられている。周辺には民家があまりなく、夜間の交通量も少ないため、不法投棄を招いているとみられる。

 土成ライオンズクラブが月1回の清掃を行い、道路の美化に努めてきた。しかし、人目に付きにくい斜面や宮川内谷川に大量のごみが目立つようになったため、市などに呼び掛けて今月23日、一斉清掃を実施した。

 ライオンズクラブをはじめ、住民団体「TRCどなり」や「土成ボランティア連絡協議会」、市から約200人が参加。1・5キロの区間で2時間作業したところ、布団やポリタンク、電化製品、古タイヤなどが約11トン集まった。他にも、土に埋まった冷蔵庫や固まった生コンクリートが見つかっている。

 市にとって香川方面からの観光客を迎える場所だけに、ライオンズクラブの木村松雄会長(67)は「地元が汚されて悲しい。地域のイメージも悪くなる。マナーを守ってほしい」と訴える。

 市は現場周辺の複数箇所に監視カメラを設置した。沿道には高さ2メートルのネットフェンスを設ける。市環境衛生課はパトロールを強化し、所有者につながる証拠が見つかれば警察に通報するなど「厳しく目を光らせる」としている。