雨に濡れた線路がヘッドライトに照らされ鈍く光る。旅情を誘う光景だ=三好池田町

 日が沈み、薄暗さの中にほのかな明かりがにじむ時間帯は、光景が最も美しく見える「マジックアワー」と言われる。

 鉄道旅行をしていて、そのような時間帯に駅で出くわすと、思わずシャッターを切りたくなる。信号の赤や青が列車の車体に反射し、駅の照明が線路に鈍く光る。雨が降っていれば、別の反射が混じり、さらに美しく旅情を誘う。

 雨の中、阿波池田駅(三好市)を訪ねた。開業したのは、今から100年以上前の1914年3月。35年に高徳線が全通するまでは、徳島市と高松市を結ぶ乗換駅だった。徳島市から徳島本線で西に進み、阿波池田駅で土讃北線(現在の土讃線)に乗った。

 35年には、多度津(香川県)―須崎(高知県)の土讃線が全通し、四国でも有数の交通の要衝として発展した。駅の近隣にあった工場への引き込み線も複数を数え、町の拠点として地域を支えた。

 車の普及や過疎化で鉄道の利用者は減った。昔日の面影は薄れたものの、5番線までホームがあるのは、四国では高松駅の9番線に次ぐ。

 雨は降り続き、列車が発着するたびに、線路が輝く。無性に鉄道で出掛けたい気分になった。