江戸後期の浮世絵師東洲斎写楽の正体とされる、徳島藩お抱えの能役者・斎藤十郎兵衛の菩提寺である埼玉県越谷市の法光寺に1日、徳島県内の二つのNPO法人が蜂須賀桜を植樹した。
2団体は、写楽を研究・顕彰している「写楽の会」と、蜂須賀桜の普及に取り組む「蜂須賀桜と武家屋敷の会」。植樹式典には両団体の20人のほか、地域住民も参加した。
徳島から運んだ蜂須賀桜は樹齢5年で高さ3メートル。写楽の会の川島周会長や、蜂須賀桜の会の桑原信義相談役らが根元に土を入れ、樋口円准住職から感謝状が贈られた。樋口住職は「越谷と徳島に阿波踊りと写楽という深いつながりができた。桜が成長していくように友好が発展することを願っている」と述べた。
境内には十郎兵衛の墓と、寺との関連を記した記念碑も建てられており、地元では「写楽の寺」として親しまれている。墓の前で、埼玉県上尾市の阿波踊り連「あげお小粋連」の20人による奉納踊りもあった。
写楽の会は、1997年に法光寺で十郎兵衛の存在を裏付ける「過去帳」を発見してから寺との交流を続けている。桜は早ければ来春にも花を咲かせるという。