その昔、ヨーロッパの公国で戦いが勃発し、城の周りに爆弾が仕掛けられた。日本の平安末期から後の、ある時代。陥落の危機を救ったのはその国の王子だった。何と、導火線におしっこをして火を消し、攻勢に転じたという
ベルギーの首都ブリュッセルの名物、小便小僧像にまつわる伝説である。信じ難い内容ではあるものの、諸説ある中で最も知られた話。「ジュリアン君」の愛称で慕われ、完成400年を来年迎える
像は市中心部の街角に立つ。日没が早い11月末も、遅くまで国内外の観光客が引きも切らなかった。さすがは国の勇者、世界一有名な小便小僧である
勇ましさなら、三好市の小便小僧も負けていない。200メートル下を祖谷川が流れる断崖絶壁。ちょこんとせり出した岩に立つ。銅像だから感心する。生身の人間が傍らに並ぶという状況は、笑えない
防護柵を乗り越えて像に落書きしたりする良からぬ行為は、かねてあった。すっかり途絶えたかと思いきや「インスタ映え」を狙って再発しているらしい。50~60階の超高層ビルと同等の高さから転落しようものなら・・・。分からないはずはあるまいに
「小便をする」は英語で「ピス」という。受け身形なら「怒る」という意味にもなる。地域が大切にしてやまない名所である。「不届き者よ、やめろ」。皆憤慨している。