「ごんたくれ(悪がき)」を自称した名優が、会場のどこかで笑っている。そんな気もする温かな会だった▼2月に急逝した俳優大杉漣さんをしのび、生まれ故郷の小松島で開かれた「トリビュートライブ」。ギタリストの堀尾和孝さんや音楽家の住友紀人さんら、ゆかりの人が思い出の曲を演奏し、エピソードを語った

 大杉さんの徳島でのライブ活動を支えた「カズバンド」の岡本和夫さんが明かしてくれたのは、こんな話。2001年の全国高校サッカー1回戦、埼玉の球技場でのことだ

 「出場していたのは徳島市立高。大杉さんの母校ではありません。でも古里のチームだからと、それも一般席で応援しているのです。仕事が立て込んでいたのに、わざわざ電車を乗り継ぎ、駆け付けて」。その思いに心を打たれた

 堀尾さんが宝物にしているという、大杉さんの最後の曲「NO CHANGE」。勝浦川に丸新デパートと、地元の風景を詠み込みながら、幼い日の記憶をたどってみせる。風光明媚な徳島、ここがあいつと俺の故郷さ。そして-。<変わらないこと/それは変わり続けること/生きる流儀は/NO CHANGE>

 懸命に走り続けた66年。決して自分を見失うことなく。ふるさとはきっと、300の顔を持つといわれた男の灯台のような役割を果たしていたのだろう。