やねこじき復活に向けて話し合う「町おこしの会」のメンバー=徳島県阿波市市場町町筋

 徳島県阿波市市場町の町筋商店街で開かれていた伝統行事で、今秋に400年の歴史に幕を下ろした「やねこじき」を復活させようと、市内の住民有志が「やねこじき・de・町おこしの会」を設立した。軒先に飾る手作り人形の出展者に再び制作を依頼するなどして、早ければ来年秋の再開を目指している。メンバーは「文化を継承し、町ににぎわいを取り戻したい」と意気込んでいる。
 
 町おこしの会は、市嘱託職員の宗石圭子会長(71)=市場町尾開=が知人らに呼び掛けて11月に結成した。メンバーは市内の20~70代の14人で、それぞれイベント企画などに取り組んでいる。

 これまで2回の会合を開き「旧市場町を代表するイベントがなくなるのは寂しい」「どんな形でもいいから残せないか」との意見で一致。やねこじきの出展者に人形の制作を求めるほか、市に運営補助金を申請することなどを申し合わせた。来年4月には、これまでのイベントの様子を紹介する写真展などを計画している。

 宗石会長は「活気のある町にしたい」と話し、約20年前まで市場町の若宮神社で行われていた「桜祭り」の復活も目指す。

 町おこしの会は運営メンバーと、過去のやねこじきの写真を募っている。問い合わせは宗石会長<電080(3611)9549>。

 やねこじき 江戸期に徳島藩祖・蜂須賀家政が旧市場町を訪れた際、住民が手作りした人形を飾って歓迎したのが始まり。1983年には最も多い約30点の人形が商店街を彩るなど、ピーク時は約3千人の見物客が訪れる町の一大イベントだった。今秋まで「やねこじき保存会」会長の関健七郎さん(73)=市場町町筋、自営業=が一人で運営し、PRや出展依頼をこなしていた。出展数の減少や関さんが高齢になったため存続できなくなった。