乗員の遺体を乗せ出発するオスプレイ=7日午前11時50分ごろ、松茂町の徳島阿波おどり空港

 高知県沖の太平洋上で米海兵隊岩国基地(山口県岩国市)のKC130空中給油機とFA18戦闘攻撃機が接触、墜落した事故で、防衛省は7日も海上自衛隊の艦艇などを投入し、行方不明者の捜索を続けた。6日に救助された2人はFA18の乗員でうち1人が死亡。不明者はKC130の乗員5人とみて、手掛かりを探している。

 救助された乗員のうち1人は小松島市の徳島赤十字病院に運ばれ、死亡が確認された。乗員の遺体は7日午前、同病院から徳島阿波おどり空港(松茂町)に運ばれ、米軍輸送機オスプレイで搬送された。岩国基地に運ばれたとみられる。徳島県によると、県内にオスプレイが着陸したのは初めて。

 県によると、離着陸について中国四国防衛局から連絡が入ったのは7日午前9時半。その後、オスプレイは午前10時45分ごろ徳島空港に着陸し、徳島赤十字病院に搬送された米兵を収容して同11時50分ごろ離陸した。

 事故は6日午前1時40分ごろ、高知県・室戸岬の南約100キロで発生。2機は夜間の空中給油訓練中だったとみられる。

 防衛省幹部によると、米軍では太平洋横断など長距離飛行の任務に対応するため、夜間の給油は必須で、日常的に訓練しているという。至近距離にいる2機が速度を維持しながら、同じ方向に進む必要があり、飛行の難度が高いとされる。夜間はパイロットが機体の距離感を把握しにくく、より難しさが増すという。

 航空自衛隊でも夜間の空中給油を訓練しており、丸茂吉成航空幕僚長は7日の記者会見で「全体的に暗く、状況が分かりにくい。特に慎重に訓練するようにしている」と強調した。

 墜落事故を巡り、岩屋毅防衛相は7日の閣議後の記者会見で「まずは捜索救助に全力を尽くす。詳細が分かれば、内容に応じ安全運航について米側に申し入れることになる」と指摘した。

安全飛行の徹底、米に申し入れを 県、国に要請

 高知県沖の米軍機墜落事故に関連し、徳島阿波おどり空港に米軍の輸送機オスプレイが離着陸したことに対し、徳島県は7日、米軍に対し同機の安全飛行の徹底を申し入れるよう防衛省と外務省に要請書を提出した。

 要請書は、米軍機の低空飛行中止や安全飛行徹底を求めてきた中での事故発生について「誠に遺憾」とした上で、米国に対する事故原因究明と再発防止の申し入れを要望。徳島空港へのオスプレイ着陸に関しては「人命に関わることからやむを得ない措置」と理解を示しつつ、周辺住民の安全確保のための安全飛行徹底を求めている。

 高知県も同日、原因究明や再発防止を米国に強く申し入れるよう求める要請書を外務、防衛両省に提出した。