善入寺島のコスモス畑の向こうにそびえる高越山。夕焼けに山容が映える=阿波市市場町

 吉野川北岸の堤防道路を徳島市から西に向かって車で走る。左前方には、四国山地の山並みが見え、ひときわ高くそびえる山がある。高越山(こうつざん)だ。

 吉野川市と美馬市の境に位置し、標高は1133メートル。山容が日本最高峰の富士山に似ているため、別称は「阿波富士」とされる。県内各地に同様の「○○富士」を名乗る山は複数存在するものの、最も知名度が高いだろう。古くから修験道の山として地域に根づき、住民からは「おこおっつぁん」と呼ばれて親しまれている。

 高越山はどこから見れば一番美しく見えるか? 昔からよくある質問であり、人によって意見は分かれる。それだけ奥深い被写体だ。私自身、これまでさまざまな場所や天気の下でカメラに収めてきたものの、答えは見つかっていない。

 今回は吉野川の川中島・善入寺島から撮影した。日没前に空があかね色になり、一面に広がるコスモス畑が鮮やかに輝き、高越山のシルエットが浮かび上がった。

 「おこおっつぁんの先っぽが、白くなったら寒くなる」。地元で伝わる季節の知らせ。例年なら白くなる時季だが、今冬はまだ冠雪の便りが届いていない。