徳島大の教授と徳島県内の企業経営者が、県産の藍を活用した藍色の食品づくりに取り組んでいる。藍の色素は本来水に溶けないが、水溶性の粉末を開発し、食品への使用を可能にした。既に和菓子やワインなどが試作され、商品化を企業に持ち掛けている。2020年の東京五輪・パラリンピックの大会公式エンブレムに採用されている藍色。関係者は「食を通じて徳島発のジャパンブルーを世界に発信したい」と意気込んでいる。
 

藍色の水溶性の粉末を開発した徳島大の宇都教授=同大


 取り組んでいるのは、徳島大産業院研究開発事業部門の宇都義浩教授(創薬化学)と、和菓子店「福屋」(徳島市)の谷内清高社長、6次産業化商品の開発や販売を手掛ける「Nab(ネイブ)」(上勝町)の池田久社長。10月1日に、商品化を支援する株式会社「藍屋久兵衛」を立ち上げた。

 徳島大産業院は、学内の研究成果を活用し、新産業の創出を図るため4月に設けられた新組織。徳大発のベンチャー企業という位置付けで、社長には宇都教授が就いた。

 以前から藍色の和菓子ができないかと考えていた谷内社長が2017年1月、ある新年会で同席した宇都教授に相談したのがきっかけ。谷内社長は約30年前に試みたが、葉の粉末などでは青緑色にくすむなどうまくいかず、構想を温めていた。

 宇都教授は、藍の色素である「インジゴ」に炭水化物の一種であるデキストリンを加えた上で、ろ過して不溶性の物質を除去。その後、乾燥させて水溶性の粉末に仕上げる技術を、同年8月に開発した。動物を使った試験で安全性を確認し、18年3月に特許を出願した。
 

(左上)ホテルグランドパレスが試作した藍色のスパークリングワイン、(右上)焼き菓子、(左下)福屋が試作した藍色の和菓子、(右下)東京五輪の公式エンブレム「組市松紋」をイメージした和菓子(いずれも藍屋久兵衛提供)


 粉末の完成後、関心のある企業などと協力して、藍色の和菓子や蒸留酒などを試作した。8月に徳島市であった徳島大産業院キックオフシンポジウムの終了後の懇親会では、ホテルグランドパレス(徳島市)がメニューを提案。「藍色のカリフラワークリームとコンソメジュレ」「スズキの藍入りペルシャード焼き」などが並び、来場者が試食した。

 県外からも問い合わせがあり、埼玉県の洋菓子製造会社の担当者は「東京五輪が近づき、エンブレムに使われている藍色を使った商品を考えている。どのように活用できるか興味を持っている」と話す。

 今後は県内外の企業にアピールし、商品化を目指す。課題は、青色の食べ物は食欲を減退させるイメージがあるほか、農薬を使用していない藍畑の確保やコスト面だという。食品添加物として国に認可されるためには、さらなる安全性の試験が必要になる。

 谷内社長は「公式エンブレムに藍が採用されている東京五輪は、徳島の藍を世界に発信する絶好の機会。藍色の食べ物や飲み物は、海外からも注目を集めるに違いない。色を愛でる感じで日本文化を楽しんでもらいたい」と力を込める。

 宇都教授は「食品だけでなく、工業製品にも使用が可能で、藍栽培の拡大や藍産業の振興にもつながれば」と話している。