午前10時ごろ来店し、ラーメンを注文する客=徳島市沖浜3のバリ旨製麺

 徳島県内のさまざまな業種で、従来は開けていなかった時間帯に営業する店や施設が増えている。朝早くから開店するラーメン店や、24時間営業のフィットネスジムなど多彩で、利用客のニーズをにらみながら同業ライバルとの差別化を図っている。珍しさもあって売り上げを着実に伸ばし、次々と新規出店を仕掛ける業種もある。

★朝からラーメン

 今年6月に徳島市沖浜3にオープンした「セルフラーメン バリ旨(うま)製麺」は、午前9時から営業している。浜口恭尚店長(46)は「徳島はラーメンの有名店が多い。競合を避け、夜勤明けの人のニーズにも応えたかった」と話す。

 朝早くから胃にもたれないよう、スープは鶏ガラをベースに豚骨を加え、脂っこくならないよう工夫している。セルフうどん店と同様、注文カウンターで商品を受け取り会計をする仕組み。麺を細くするなどして注文から30秒ほどで商品を出している。定番の「かけラーメン」が380円と安いのも売りだ。

 午前9~11時の早い時間帯は、多い日で約20人が利用し、開店前から並ぶ人もいる。朝からラーメンを食べる習慣がつき、頻繁に訪れる人もいるという。

★モーニングレース

 ボートレース鳴門(鳴門市撫養町大桑島)は今年9月22日、通常より90分ほど早い午前8時半ごろから舟券を発売する「モーニングレース」を始めた。全国24レース場のうち導入したのは5番目。他レース場がほぼ営業しない時間帯に、スマートフォンなどを使った電話投票で全国各地から舟券を買ってもらおうと企画した。

 12月1日までに開催した29日間の1日平均の売り上げは、約1億6500万円。最高クラスの選手が多く出場するG1・G2レースなどを除いた昨年度の一般レースの1日平均(約1億300万円)を約6200万円上回っている。

 終了時間も前倒しされ、午後3時ごろになっている。実力選手がそろうメインの終盤10~12レースが他レース場より早めに行われるため、この時間帯も舟券が売れるという。来年3月まで計90日間開き、2019年度も下半期に実施する。

★24時間フィットネス 

 10月11日にオープンした24時間営業のフィットネスジム「エニタイムフィットネス徳島住吉店」(徳島市住吉6)は、入会が相次ぐ。11月上旬からは空き待ちの状態が続いており、現在の会員数は約1400人に上る。

 ウオーキングマシンや自転車型トレーニング器具のほか、背筋や胸筋といった部位ごとの筋力を鍛えるマシンなど約30種類の機械を50台以上設置している。会員の年代は10~80代と幅広く、約7割が男性だ。

 夜間はもちろん早朝の利用も多い。シャワー設備があり、出勤前に汗をかいても身だしなみを整えられる。

 徳島市の会社に勤める阿波市の男性(44)は、週3日利用しており、「仕事が遅くなっても気にせずに自分のペースで通える」と話す。運営するキングスロード(徳島市)は、2号店の出店を計画中だ。

★24時間営業のコインランドリー

 24時間営業のコインランドリー「ランドリークィーン」を運営するMホールディングス(徳島市)は、10年に同市八万町に初出店したのを皮切りに、年々増やしてきた。現在は徳島、鳴門、小松島、阿南、吉野川5市と北島町で計26店を手掛ける。

 テナントビルのオーナーからの依頼を受け、1階の空き部屋に開設するケースが多い。無人で済むので人件費がかからない上、維持費は主に光熱費で少なく済むためだ。

 短時間でふわっと仕上げられるガス式の乾燥機が人気という。同社の三谷貴志会長(42)は「共働き家庭が増える中で、家事を短縮したい人に受けているのでは。24時間いつでも使えるのも大きい」と分析する。