2018年のヴォルティスを最後までけん引した岩尾憲主将。チームの節目や試合後に語った言葉にはリーダーとしての責任感や苦悩、感謝の気持ちがにじみ出ている。シーズン中の発言を拾った。
「自分たちが止めた時間を再び動かすための1年が始まった」(1月、大麻比古神社で必勝祈願後に)
リーグ最終戦でプレーオフ進出を断たれた昨年を念頭に強い意欲をのぞかせた。新加入選手10人余りを迎え、「昨年以上の質を追求したい」とプレシーズンの準備の重要性を強調した。
「早くスタートラインに立たないと」(2月の開幕戦を落とし)
必勝の決意で臨んだ岡山戦は0-1。ボールを支配したが無得点に。仲間に奮起を促した。
「応急処置的な戦い方だったが、選手はやるべきことに全力で取り組んだ」(6月のホーム大分戦で守備寄りに戦術を変更)
首位チームを相手にあえて攻撃的なプレスを仕掛けず快勝。ただ、これまで積み重ねてきたスタイルとは違う戦術に違和感ものぞかせた。
「前に進むしかない」(主力移籍後の山形戦を前に)
副主将として一緒にチームを支えていた島屋らがJ1クラブへ移籍。戦力ダウンは必至だったが、弱音を吐くことはなかった。
「一番成長したのはサポーター」(10月の横浜FC戦後に)
5連敗でプレーオフ進出の可能性がついえたにもかかわらず、試合後のスタンドからは選手をねぎらう拍手が送られた。サポーターの気持ちに「プロとして応えられていない情けなさを感じる」とうなだれた。
「皆さんの思いを糧に進んでいきたい」(ホーム最終戦後、MIPに選ばれ)
2年連続の受賞にも、チームは昇格争いから既に脱落していたため「昨年とは違った気持ちでいただいた」とあいさつ。「結果を出せていない自分もいる」と最後まで笑顔はなかった。