震食倒毒末金戦帰虎災愛命偽変新暑絆金輪税安金北。一見すると仏教の経典のようだが、そうではない。その年の世相を1字で表す「今年の漢字」である。昨年までの23文字全てを並べると、こうなる

 直感でどんな印象を抱かれただろう。愛、絆、安に幾分ほっとするものの、どこか暗い影がかかっているような。24番目に加わったのは「災」。残念ながら影は濃くなった

 漢字研究者の円満字二郎さんによると、「災」は本来、運命が引き起こす不幸な事態を指す。同じ「わざわい」でも、人間が引き起こす不幸には「禍」の字を当てるのだという

 西日本豪雨に北海道や大阪北部の地震、命に関わる酷暑・・・。自然の脅威に度々身をすくめた。財務省や自衛隊の決裁文書改ざん、医大の不正入試、スポーツ界のパワハラ被害―と、人災と呼べる不祥事も目に余った。なるほど「災」もあり「禍」もありの一年だった

 平昌冬季五輪でのメダルラッシュや「万引き家族」のカンヌ国際映画祭最高賞など、明るい話題にも事欠かなかった。ただ、失われた10年とも20年とも称される平成である。最後の年末に「災」が示されたのは、偶然ではないのかもしれない

 元号が変わる初年の漢字は、さて何になるだろう。鬼が笑っても構わないので言っておく。最もなじみがあり、まだ見ぬ「徳」を望む。