徳島市出身の猪子寿之さん率いる学際的なウルトラテクノロジスト集団「チームラボ」と森ビルが東京・台場に開設した「森ビルディングデジタルアートミュージアム:エプソン チームラボ ボーダレス」を取材した足で、チームラボがDMM.comと共同で7月に東京・豊洲にオープンさせた「チームラボ プラネッツ」も取材してきました。ボーダレスよりも「没入感」が強化されているこの展示施設には、ボーダレスとはまた異なる魅力や楽しみ方がありました。

 

 プラネッツには、チームラボが長年取り組んできた「Body Immersive(体ごと没入する)」というコンセプトに基づいた作品が展示されています。デジタル技術でアート作品が特定のキャンバスを離れてさまざまな物に投影されたり、視覚的錯覚を引き起こしたりすることで作品に体ごと没入でき、鑑賞者の体と作品の境界があいまいになって、世界や他者との関係を考え直すきっかけになるとしています。

 プラネッツには水の中を歩く作品があるため、展示空間に入る前に靴下を脱ぎ、ズボンは膝までまくり上げ、スマートフォン以外はロッカーに預けます。入場口でスマートフォン用の防水ケースが貸し出されるほか、半ズボンのレンタルもあります。水深は最大で30センチ程度で、水に入る作品の出口には足ふき用のタオルが用意されています。

 最初の展示に向かう通路を含め、各展示スペースの間はほの暗い通路で結ばれています。わずかな光を頼りに、所々質感が変わる床を足の裏で感じ、時折漂う花のような香りを嗅ぎながら歩いていると、感覚が研ぎ澄まされていくのが分かります。外界から隔絶されるだけでなく、こうして自分の体に敏感になることで、現実離れしたデジタルアートの世界により入り込みやすくなるのではないかと感じました。

 

 この展示施設を代表する作品が「人と共に踊る鯉(こい)によって描かれる水面のドローイング-Infinity」です。無限の広がりを感じる空間に水深30センチほどの水が張られており、水面には泳ぐコイが投影されています。鑑賞者が水の中を歩いてコイに触れると、花になって散っていきます。作品はコンピュータープログラムがリアルタイムで描き、鑑賞者の動きで変化するので、同じ瞬間は二度と訪れないそうです。

 

 「The Infinite Crystal Universe」は、光の宇宙空間が全方位に無限に広がる展示です。上下前後左右に作品と鑑賞者の鏡像がどこまでも広がり、異次元に迷い込んだような不思議な感覚になります。

 

 このほか、ドーム状の空間に花びらが降り注ぐ「Floating in the Falling Universe of Flowers」や、フカフカの床に足をとられながら進む「やわらかいブラックホール-あなたの身体は空間であり、空間は他者の身体である」、触れると色が変化する球体の中を歩く「意思を持ち変容する空間、広がる立体的存在-自由浮遊、平面化する3色と曖昧(あいまい)な9色」などがあります。

 

 プラネッツは所要時間2時間程と、ボーダレスに比べると短いですが、デジタルアートなのに極めて肉体的でアナログでもあるという、非常に面白い体験ができました。展示作品とは全く関係はないのですが、江戸川乱歩の小説に描かれためくるめく世界や、乱歩原作で増村保造監督によって映画化された作品などを思い出してしまいました。2020年秋までの期間限定ですので、気になる方は早めに訪れてください。

 ■チームラボ プラネッツ
  住所=東京都江東区豊洲6-1-16 teamLab Planets TOKYO
  会期=2018年7月7日~20年秋
  営業時間=平日午前10時~午後10時(最終入場午後9時)、土日祝日午前9~午後10時(最終入場午後9時)、18年12月25日~19年1月4日は午前9時~午後10時(最終入場午後9時) ※時期により異なるので公式HPを要確認
  休館日=第1木曜
  料金=大人(18歳以上)2700円、中人(13~17歳)2000円、小人(4~12歳)800円、シニア(65歳以上)2000円 ※時期により異なるので公式HPを要確認
  ※光刺激で筋肉のけいれんや意識の喪失を引き起こしたことのある人、閉所・暗所・高所に極度の恐怖を感じる人、ペースメーカーを使っている人、補助犬を伴っての入場は不可。