旧優生保護法(1948~96年)の下、障害者らが強制不妊手術を強いられた問題で、自民、公明両党の合同ワーキングチーム(WT)と野党を含む超党派議員連盟が、救済法案を一本化し、基本方針をまとめた。

 対象者に一時金を支給するのが柱である。

 与野党が来年の通常国会に議員立法で法案を提出し、早期に成立する見通しだ。

 「障害者差別に当たる」として旧法から「優生手術」の条文が削除されてから22年が経過している。ようやく政治が、被害者の救済に向けて具体的な道筋を示したことになるが、あまりに遅すぎる対応である。被害者の救済を急がなければならない。

 基本方針では、前文に「(被害者が)心身に多大な苦痛を受けたことに対し、われわれは真摯に反省し、心から深くおわびする」と記した。

 与党WT、超党派議連は、主体の「われわれ」について「国会や、旧法下で手術を進めた政府も含む」と説明している。だが、被害者側が強く求めた「国による謝罪」は明記せず、旧法の違憲性にも触れていない。

 裁判への影響を回避する狙いもあるとみられるが、問題が多いと言わざるを得ない。

 本人の同意に基づく手術も救済対象で、一時金は手術を受けた本人が厚生労働省に請求し、認定を受けて支給する。しかし、意思決定が困難な知的障害者や証言する家族が亡くなった人もいよう。障害者施設側には、施術の有無を把握し、申請につなげることに不安もあるようだ。

 今後の協議に積み残された一時金の額も含め、被害者に対して十分に配慮する必要がある。

 被害認定の請求は法の施行日から5年以内となる。ところが、周囲に知られたくない人がいるといった理由で個別通知はせず、救済制度の積極的な周知を図るという。

 都道府県に相談窓口を設置するとしているが、被害者に寄り添う相談体制を整えてもらいたい。

 旧法は議員立法で成立した。「不良な子孫の出生防止」を掲げ、知的障害や遺伝性疾患などを理由とする不妊手術を認めた。

 旧法下で手術を受けたのは約2万5千人で、うち強制的な施術は約1万6500人に上る。徳島県内でも、391人が施術された。

 強制不妊の問題が表面化したのは今年1月、宮城県の女性が仙台地裁に、国に損害賠償を求める訴訟を起こしたのがきっかけだ。

 その後、提訴が相次ぎ、旧厚生省が都道府県に手術励行を求め、自治体の優生保護審査会が正規の手続きを経ずに手術を決めていたことも分かってきた。

 議員立法である旧法制定の経緯や被害の実態を、徹底的に調査すべきである。

 法的救済と併せて、障害者らへの偏見を根絶する啓発活動も欠かせない。