札幌市の爆発事故の原因となった可能性が高いスプレー缶の処分を巡っては、徳島県内の20市町村が屋外や水中で缶に穴を開けるよう住民に促している。缶に残ったガスの噴出によるごみ収集車や処理施設への引火、爆発を防ぐためだ。一方、環境省は、屋外での穴開け作業が徹底されないと、かえって火災につながるとして「穴開けは不要」とする通知を出しており、対応に頭を悩ませる自治体の担当者もいる。
各市町村のスプレー缶の処分方法は表の通り。24市町村とも、スプレー缶の中身を使い切ってからごみに出すよう要請している。阿波、美馬、上板、つるぎの4市町を除く20市町村は、中身を使い切った上で、風通しの良い屋外や水中で穴を開けるよう求める。石井町は穴が開いていない缶は回収しない。
こうした取り組みに対し、環境省は2015年に「屋内での作業など不適切な方法での穴開けは火災につながり、開けない方向が望ましい」と各自治体に通知した。
ただ、穴の開いていないスプレー缶が原因で収集車が燃える事案も発生している。穴開けの徹底を呼び掛けている自治体の担当者からは「現場で危険性を体験しており、穴が開いていないと怖い」との声が上がる。
阿波市と上板町は環境省の通知がある前から、缶の破裂やガスの噴出、工具でけがをする恐れがあるとして穴開けを求めていない。
現在は穴開けを促している鳴門市も同省の通知を受け、来年2月から不要にする。
三好市と東みよし町は同4月から穴開けを不要にする予定だったが、札幌市の事故を受け、前倒しで実施できないか検討する。三好市環境課は「札幌の事故の重大性を考慮し、引火する危険性をなくすため」と説明している。
■県内でも爆発事故
徳島県内でもスプレー缶が絡む爆発事故が発生している。2008年12月には徳島市栄町3のマンション一室が爆発し、住人の女性が顔や手などに重いやけどを負った。今年1月には同市津田本町の住宅で、暖房器具や家具の一部を焼いた。
栄町の爆発では、窓を閉め切った室内にいた女性が、殺虫剤などのスプレー缶14本に穴を開け、中身を抜いた。可燃性ガスが充満する中で女性がたばこに火を付け、引火したとみられる。
津田本町の住宅火災は、暖房器具の前に置いてあったカセットコンロ用のガスボンベが膨張、爆発して引火した。
ごみ収集車の出火も相次いでいる。スプレー缶やガスボンベに残った気体に引火したのが原因とみられ、17年度は徳島市(17件)、小松島市(5件)、阿南市(2件)の3市で確認された。
大半の火災は、ごみ収集作業員が消火器を使ってその場で消し止めているが、消防車が出動することもある。徳島市市民環境政策課は「ガスを使い切ったのを確認した上で廃棄するよう心掛けてほしい」と呼び掛けている。