大記録を達成しても落ち着きを失わなかった。「喜びというよりも、ほっとした思いが強い」。少しほほ笑みを浮かべて感動をかみしめた。

 徳島を訪れたのは第40期天元戦以来4年ぶり。当時、4連覇を逃して悔しい思いをした。

 しかし、今回は七大タイトル獲得数を歴代単独1位の43期とし、「忘れられない地となった」と頬を緩めた。報道陣から今やりたいことを問われると、「対局は疲れる。好きなお酒を飲んでリラックスしたい」と白い歯を見せた。

 2018年を「勉強になった一年」と総括する。昨年、2度目の全七冠を独占したが、今年に入り、夏の碁聖戦、秋の名人戦で失冠し、不調がささやかれたことも。12月13日に王座戦を防衛して悪い流れを止め、復調の兆しをつかんだ。

 2月、国民栄誉賞を同時受賞した将棋の羽生善治竜王と同じペースでタイトルを積み重ねてきた。両者が43期目を獲得したのは、いずれも29歳の時。「でも、羽生先生はそこからがすごかった。私も長くやれるようにしたい。それが目標」と謙虚に語る。

 野球のメジャーリーグ観戦が好きで、イチロー選手(マリナーズ)の大ファン。子どもの頃はそのスター性に憧れた。

 今はそれだけではない。「試合に備えての準備や野球に全てをささげる姿勢に引かれる。しかも、すごい次元の成績を残し続けている」。野球と囲碁。分野は違うが、同じプロとして学ぶことが多いようで「(イチロー選手は)理想です」。

 今後は「世界戦でも存在を示したい」との目標を持つ。今年はLG杯で準優勝して手応えをつかんだ。年末年始は大阪市内の自宅でゆっくりと過ごし、休養後に世界一への挑戦が始まる。