農業の姿はどう変わるのか。環太平洋連携協定(TPP)がまもなく発効する。安価な外国産農産物が流入してくれば、日本産品も競争力をつけなければならない

 いつから農業は商売の道具になり、これをいつまで続けるのか。徳島市の農政研究家井沢忠蔵さんは眉を上げる。県庁を退職後も、規模拡大や生産性向上に走る農政への疑問は膨らみ、平成に入ってグローバル化の荒波にさらされる農業を「わが事」として見守ってきた

 その持論は欧米直伝ではなく、多様で小さい農業経営を基盤とすべし。語弊があるかもしれないがと断りつつ「もうからないが、つぶれない農業を」と言う。JAの改革に向けては財界の視点によらず「ひたすら農業者と一緒になって組織の自己改革を進めていかなければ」

 40年以上にわたり県農政クラブの一員として活動を続け、農業や食糧問題などについて提言。1993年に「農政ひと言」と題して自費出版し、以降も本紙経済コラム欄への寄稿などをまとめ、随時刊行してきた

 最新刊の「農政ひと言 第八集」が届いた。行き過ぎた市場原理に巻き込まれてはならないと警鐘を鳴らす。一言では言い表せない憂いもある

 来月、米寿を迎える井沢さん。希望はと聞くと「多様で小さい日本型農業にひかれて帰農する人たちの姿ですね」と返ってきた。