成人式で新成人の抱負を語る多田さん=徳島市の応神コミュニティセンター

 2017年の新成人は、徳島県内で約7300人。若者たちは、希望や周囲への感謝など、さまざまな思いを抱いて大人の一歩を踏み出した。新成人を代表し、女子サッカー・プレナスなでしこ2部リーグで活躍する吉田凪沙さん=吉備国際大2年、同市出身=に話を聞いた。

 「多くの人とつながりができ、どこに行っても応援してくれる。その一つ一つが、私を支えている」。小学1年の時、2歳上の兄の影響でサッカーを始めた。最初は「好きというわけではなかった」が、試合で勝つことの楽しさを知り、魅力にのめりこんでいった。

 地元の少年サッカーチームでプレーし、6年になると女子のクラブチームにも所属。中学でもサッカーを続け、兄と同じ男子チームの練習に参加しながら腕を磨いた。

 学年が上がり、年上の選手と接する機会が増えると、県外の高校で実力を伸ばしたいと思うようになった。「もっと厳しい環境で力をつけたかった」

 進学先に選んだのは、名門・日ノ本学園(兵庫県)。スピードと体力を買われ、1年から試合出場の機会に恵まれた。古里を離れて初めての寮生活。家族の応援や、仲間たちに支えられ、順調に経験を重ねていった。

 2年の10月、大きな衝撃が襲った。当時、大学1年だった兄が、交通事故で突然他界。涙が止まらなかった。大学でもサッカーをしていた兄。最期の別れで体を拭きながら、「必ず全国大会で優勝する」と約束した。

 「心の整理ができたわけではないけど、サッカーをしていると気が紛れた」。普段と変わらず接する仲間の存在もありがたかった。練習に打ち込み、3年でインターハイと全日本選手権の2年連続2冠を果たした。

 死を目の当たりにし、日常、多くのことを見過ごしてきたことに気付いた。「兄は19歳だった。成人を迎えて、サッカーに打ち込めるのは幸せ。この環境に感謝している」。試合前には、兄を思い浮かべて空を見上げる。「つながっている気がして。力をくれるんです」とほほ笑む。

 吉備国際大では、背番号5を背負う。平日は授業と練習、週末は試合の生活。「勝ちにこだわって、さらにレベルアップしたい」と意気込む。目標は、卒業後も「なでしこ」でサッカーを続けること。「生きていると試練は訪れる。でもきっと乗り越えられる」。20歳の節目、さらなる飛躍を誓った。